数日前、介護施設でおやつにドーナツを与えたため高齢者が窒息死してしまい家族が介護士を訴えた裁判の判決が出て全国版のニュースでも報じられました。
1年半前に亡くなった父の晩年には私も介護施設にお世話になったことと、同じ長野県内の出来事であったため非常に興味深くニュースを見ていました。
父が亡くなる前の1年間だけでしたが、姉が面倒を見に東京から来てくれる3週間は自宅で、残りの1週間を介護施設のお世話になりました。父がお世話になった介護施設の皆さんは本当に優しく親身になって対応してくれ感謝してもしきれないくらいでした。
介護施設に洗濯物を届けたり、送り迎えに行ったとき、施設の皆さんの優しい対応をみて、他人がこんなに優しくしているのにどうして自分は怒鳴ったり頭をひっぱたいたりしてしまうんだろうと自己嫌悪に陥ったものです。
高齢者に手錠をかけたり、ベッドに縛り付けたり虐待のニュースが報じられた介護施設もありますが、殆どの介護施設の介護士の皆さんは肉親と同じ気持ちで世話をしていただいていると思います。
亡くなられた方は85歳、肉親が亡くなることは悲しいことですが、既に天寿を全うしており、まして自分が介護できないからお願いしたのに介護士の方を訴えるのはいかがなものでしょうか。食べ物を詰まらせて窒息死するのは高齢者にはよくあることで自宅で介護をしていても十分起こり得るアクシデントだったと思います。仮に預けるときにドーナツなど固いものは与えないでくれとお願いしていても、私は介護の大変さは身をもって体験したので、今までありがとうございましたという気持ちでいられたと思いますし、多くの方は同じではないでしょうか。
とにかく一審の判決が覆り無罪となったことは本当に良かったと思います。これが有罪のままだったら、ただでさえ人手不足の介護の現場が崩壊してしまう状況になったかもしれません。ニュースでは被告であった介護士の方も顔は出ませんでしたが、お話をされていて真面目そうな方でした。引き続き介護の世界でご活躍していただきたいと思いますが、それは酷なことでしょうか。